短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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伊勢谷小枝子

 
ビャッ

 不条理ものが好きです。と答えます。どんな映画が好きかと問われたら。「街角で、変なボタン押すと、違う星に行っちゃうんです、ステテコはいてて、マッチが貴重で、鼻輪に鈴がついたのしてて、「クー」てあいさつするんです、そういう映画」←私が思う不条理映画の代表作。「クー」は、ポーズつき。
 「ちょっと怖い系だと、箱から脱出する映画なんだけど、普通の脱出ものって、トンネル崩れるとか火事とか船が沈むとか、なんか事故か事件があるけど、それは、最初っから箱の中にいるんだよねー、本人たちもどうしてそこにいるのかわからないんだけど、低予算だったみたいで」←映画を見終わって、乗った箱(エレベーター)が、最も怖かった。凶器が出てきそうで。
 「ダレ・ダカラリーといいます、登場人物が覚えられないラリー。特に海外の作品で、よく走ります。人がたくさんいるならしょうがないけど、カミングズの詩が使われていた映画の、姉妹が、どっちがどっちか、姉か妹か、わからなくなったときは、さすがにひどいと思った。似てない(タイプの)姉妹として描かれているのに」←本来なら見てないはずの、心あたたまる映画です。
 「日本人が、途中で、別のアジアの人になっていたことに、驚き笑いました。緒方拳も出ていた、枕草子もしくは耳なし芳一。イギリス旅行中に見たので、日本語の台詞に英語の字幕が出るのをおもしろがっていたのに、その子が大人になったら、知らない言語をしゃべってるんですもの」←まあそんなことに関係なく、あちらからみたオリエンタルがわかった、わからない映画でした。
 「恋のもつれから(←言ってみたかった)、犬っぽい女の人と猫っぽい女の人が、言い合いをするんです。犬っぽい女の人が、猫っぽい女の人に、飲みかけのワイン、飲み残しのワイン、ボトルじゃなくてグラスに残った、を、かけるんです。ビャッ、て、かけて、出て行くんです。そういうのはできないなー、できてみたいなー」←そういう言い合いで、私の映画視聴史上最も心に残る台詞があるのですが、それはまた、と別の映画を思い起こしながら。
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