短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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斉藤倫

 
まめまめしい日々(あまがみちゃんのウェブ日記から)

 【月曜日】
お昼に焼きそばを作っていたら、ちいさいものがやって来て、
「りんりん」と言った。
目が合うと、キュッと体をはずませたので、一緒に焼きそばを食べた。

 【火曜日】
洗濯ものを干していると轟音が轟き、
見上げた空にブルーインパルスが「永遠」と書く練習をしていた。
難しそうだった。

 【水曜日】
パンダの絵が描いてある緑色の封筒が届いた。
中からは春の匂いがしたので、中身を出す前にしばらく余韻を味わった。
そこには、かわいいものと、あやしいものが入っていた。

 【木曜日】
大切だった友人の、大切な現在と対峙した。
帰りの電車で、車掌さんが「次は永遠ー、永遠ー」と言った。
コンビニで牛乳を買った。

 【金曜日】
雨がふっていた。
燃えないゴミの日だったけど、心がくじけそうになった。
ちいさいものがやってきて、励ましてくれた。

 【土曜日】
湯上がりに自称「永遠」から電話があり、長話しすぎて風邪をひいた。
トローチをなめたら、包み紙に「当たり」と書いてあった。
誰にも内緒にしておいた。

 【日曜日】
イチゴを買った。
洗って出したら、ちいさいものはお皿ごと持って帰った。
家族か恋人へのおみやげなのかな。

お皿、いつでもいいよ。あたしなら、明日も明後日もここにいます。
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