短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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伊勢谷小枝子

 
機械の気持ち

 仕事中、印刷機に「インクがなくなりました。インクボトルを交換してください」とか表示される。ふたを開けて、インクボトル着脱レバーを動かして、ボトルは交換せずに、ふたを閉める。またしばらく使える。という手法をよく使って印刷を続けていた。エコロジー。ある日、「インク切れだー」と言う人にその手法を伝え、「ほんと、使える!」と感心された。そしてつい、「シー、機械が聞いてるっ」と言ってしまう。後日、何度も続けてその手法を使っていたら、「異常」の表示が出てしまった。ごめん印刷機。今度からは3回までにするから。

 寝る前に、ふとん乾燥機(温風)をかける。物理的安眠の必需品。もう何年も何年も使っている。ある夜、温風が、ぬるかった。冷たくはないけど。もう寿命か。修理するならしばらく寒い夜だ。いやだね。翌日、電器屋さんへ。3台。4000円台からあるんだー、と確認して帰宅。その夜、温風は、元通りに温かくなっていた。ごめん乾燥機。今度また添い寝して。

 機械ではないけど、お湯が沸くのを、ヤカンや鍋のそばで待っていると、なかなか沸かない。という話をなにかの本で読んだ。確かに。あと機械といえば、先月買ったシュレッダー、その夜以来使ってない。飽きっぽいにもほどがある。飽きっぽいの極みは、パジャマのボタンを、最後まで留められないこと。本を読んでいた肩こりしたりするのが納得いかない。体はめんどくさい。単に本を読みたいだけなのに。「本を読む」という機能になりたい。

  機械化が進んだ今も息だけは吸って/吐いてと考えている(健康短歌)
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