すろーらいふ
川柳作家という文化系のわりに、スポーツをすることが多い。 今年したスポーツを挙げれば、野球、ソフトボール、ビーチサッカー、海水浴、町民運動会の30代100m男子、部屋の模様替え等、多岐にわたり、夜は夜でなにかと勤しんでいる。 田舎なので、山・川・海に囲まれ、野球場、陸上競技場、海水浴場なんかが、徒歩5分以内にある環境のせいもあるだろう。そんな環境のせいか、娘の初めて覚えた単語が「むし」というのも笑える。 たまに休みの日には、海まで歩き、テトラポットに座って遠くの旅客船を眺めながら、缶ビールを2、3本飲む。潜ればすぐウニやアワビがあるし、つまみには事欠かない。そんな時間が簡単に手に入る。
贅沢な時間だ。 若い頃は、これが贅沢な時間だとは一片も思わなかった。 上京して数年間、満員電車に揺られて、足早に交差点を渡る日々を過ごした。その後、田舎へ戻り「やっぱり自然が一番」と呟いたものの、当時、それは本心ではなく、負け惜しみに近い台詞だったのだと思う。
「何もしない時間」という贅沢。 これを贅沢と思えるのは、自分自身、日々充実している証拠なのだろう。あれもしなきゃ、これもしなきゃと、いつも何かに追いかけられながら過ごしているなかで、「何もしない」という半ば自殺的行為はとても勇気が要る。だから贅沢と感じるのだろう。
などと、テトラポットの上でノートパソコンと向き合いながら、そんなことを考えている。 空がとても高い。大きく息を吸い込めば、秋の匂いが僕を支配していく。
石いくつ投げても海に当たらない Sin |