短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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Sin

 
ゆうれつのほうそく

 毎年、10月23日には「津軽弁の日」というイベントが青森市文化会館で開催されている。10月23日というのは、方言詩人・高木恭造の命日であり、方言について考え、そして方言を大切にしていこうという趣旨で行われていて、僕もそのスタッフの一員としてお手伝いしている。そのチケット約2,000枚は、2,000円ということもあり、なかなか手に入らないほど青森では人気のあるイベントなのである。
 で、その「津軽弁の日」では何をするのかというと、全国から津軽弁を使った文芸、または津軽弁にまつわる体験記などを募集し、優秀作品をその日にステージで発表するのである。詩、短歌、俳句、川柳、体験記の5部門がある。
 第何回目だったか忘れたが、川柳の部の入賞作品にこういう作品があった。

  あめでらがどんだがさばさまさかへでみる

 内容がわかった方はいるだろうか。津軽弁は、訛りとかアクセントとかそういう問題じゃないことがおわかりいただけるだろうと思う。すでにもう他言語だと思っていただいて間違いない。内容はというと、「腐っているかどうかわからなくて、自分で最初に食べるのは怖いから、まずお婆ちゃんに食べてもらおう」という内容である。心当たりのある人は、正直に笑いなさい。

 さて、毎年この作品選考会でもめる事がある。文芸としてレベルが高いものを入選させるか、それともお客様が笑って楽しんでもらえるような作品を採るかである。わからないこともない、みんな笑いたくて、このチケットを一生懸命手に入れて、見に来てくれるのだから。でも、とてもいい川柳作品が、没作品といっしょに捨てられていくのも、川柳人としてとても忍びない。

 機会があったら高木恭造の作品を、皆さんも一度読んでみて欲しいと思う。ただ、何が書いてあるのかさっぱりわからない部分もあると思うが・・・(笑)
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