短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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Sin

 
タザンノイシ

 いま青森は、ねぶた祭りの真っ最中である。
 秋田市の竿灯まつり、仙台市の仙台七夕祭と合わせ、東北三大祭りとして、全国的にチョー有名な祭りである。
 さて、このねぶた祭り。ここ近年、問題になっているのが、カラス対策である。
 「カラス対策」と言っても、慎太郎クンが悪戦苦闘しているカラス対策ではない。
 ねぶた祭の「カラス」とは、本来のねぶた衣装を着ずに、黒い半纏、もしくは法被などを着た、いわゆるヤンキー集団のことである。ただ、そのような格好をして街を徘徊するだけなら何も問題にならないのだが、祭りの参加者または観光客へ暴行ヲ加ヘタリスルノデアル。
 排除しようとする主催者側、排除されることにムカつくカラスが、更に暴れ出す始末。最近は、街中に警察官が配置され、物々しい雰囲気になっていて、とても祭りを楽しめる空気ではない。
 だがしかし、ここで主催者側が新しいルールを作った。正規の衣装でなければ、参加出来ないというルールである。このルールを作ることによって、正々堂々とカラスが排除できると考えたわけだ。
 だがある日、ひとつの出来事が起きる。ある外国人があまりの祭りのエネルギーに興奮して、路上の跳人(ハネト)と一緒に踊り出したのである。他の観光客からは、どっと歓声が上がり、その場は最高に盛り上がった。すると、それを見た警備スタッフが、現場へ走り寄り、その外国人をつかまえ、沿道へ戻し始めたのである。理由は「正規の衣装でないため」。このへんが行政的というか、役人的というか。バカもここまでくると日本三大バカである。
 正規の山車、正規の囃子、正規の衣装、正規の踊り、正規の主催者に正規の観光客。果たして「正規だらけの文化」はどういう道を辿るのか、行く末を見守り続けたい。
 川柳も決して他人事ではないはずだから。
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