短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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三宅やよい

 
抹茶句会

 「結構なお手前で」お茶会に出たことはないけどあのテの風景が苦手で俳句を作り始めてもしばらく句会に出たことがなかった。ネンテン先生に出会ったとき、「人前に出さない俳句は俳句じゃないよ。」と言われ初めて密室で俳句を作る空しさに気付かされた。 
 転勤生活が多いので句会の繋がりもすぐ断ち切られてしまう。住む場所がかわるたび句会を訪ねて歩く。参加する句会はいずれもエライ先生のいない句会。所属結社も年代層もばらばらだけど、しばらくするうちにそこの空気とともに選の基準が見えてくる。
 今よく出ている「豆の木」句会は題詠中心。月二回、木曜七時から十時まで銀座で。日曜は午後一時から八時まで池袋で時間の許す限り繰り返し句会をやる。年に一度の合宿に参加しようものならそれこそ朝から晩まで句会をする体育会系俳人集団。ともかくみんな心底俳句が好きで元気なのだ。詩人達が集まってやる余白句会(http://homepage.mac.com/yohaku/Menu7.html)、にも参加させていただいているが、こちらは詩人と俳人の混合試合といった句会風景。有志でやっているもう一つの句会はどうやらメンバーも出揃って句会の性格ができつつある途上。
 スターバックスやドトールに客を奪われたがらがらの喫茶店で句会をやることも多い。珈琲一杯に長居して、ぼーっとしているうちふいっと言葉が浮かぶことも。句の出来、不出来に関係なく集まって無駄話しながら考えている時間が楽しい。俳句の神様は気まぐれだから血眼になるとすぐ逃げてしまう。
 「分かる人には分かる」と言葉の微妙な了解を頷きに求める俳句はお抹茶句会になりがちだけど、外からふらりとやってきた人の句がみなの関心をさらうケースも多い。安定した場の空気に刺激や揺らぎを求めているのか。どうせなら通りすがりにお抹茶を飲んでいける気軽さがいいかもね。

  八月の象に乗りたし池袋  やよい
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