短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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荻原裕幸

 
新人賞

 第4回歌葉新人賞の選考を進めている。115篇の応募作すべてを読み、候補作を絞りこんでいる。第4回ともなれば、選考という行為に多少の慣れを感じながら進められるものとばかり考えていたのだが、何篇かの思いがけない作品に出逢い、最終的な候補に推していいものかどうか、ずっと悩んでいる。そう言えば、第2回も第3回も、今回は慣れるかなと考えていて、結局最後まで悩んだのだったか。
 慣れずに毎回悩まされるのは、大変な作業だけれど、新人賞の運営サイドとしてはうれしいことではある。よくよく考えてみれば、選考に慣れるような応募作品しかないのだとしたら、むしろ淋しいと思うし、慣れで選考をされてしまったら、応募者だって納得できないだろう。実はこの文章の掲載日は、一次選考の結果発表の日なのだ。自分がどんな答を出すのか、まだ先がうまく見えていない……。
 第1回受賞者の増田静さん、第2回の斉藤斎藤さん、第3回のしんくわさん、思い返してみると、候補作を絞りこむ段階で結果の予測できた人はいなかった。ぎりぎりのところで選考をしている、などと言えば聞こえはいいけれど、つまりは、選考という行為を通してはじめて受賞作の価値を掴んでいるわけで、あらかじめ選考委員が抱える短歌観だけでは判断不能の存在こそ、本当の「新人」なのかも知れない。
 ぼく自身、過去に、角川短歌賞と短歌研究新人賞に応募した経験がある。リアルに思い出すのがむずかしくなるほど時間が経過しつつあるけれど、そのときにいつも感じていたのは、選考委員にわかってもらえるだろうか、という不安だったか。選考に関わるようになって、その点だけはクリアしようと努力している。というわけで、ハードルの高い作品群を前に、四苦八苦している最中である。
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