短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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Sin

 
なんせんす

 「サルの絵が290万円で落札」
 こんな記事を先日見かけた私は、思わず「サルさんていう人は、絵が上手なんだろうねぇ。」と、まるでテレビに話しかけているおばあちゃんのような独り言をつぶやいた。
 が、である。やはり「サル」は「猿」のことで、絵画の世界では有名なサルらしく、ロンドンのオークションで絵画3点が290万円で落札されたらしい。
 なんと、それも「ルノワール」「アンディ・ウォーホル」などとともに競売にかけられたというから、驚きだ。
 もしかしたら、将来、川柳の上手いサルが現れて、そのサルが出した句集への書評も依頼されるかもしれないので、少しその練習をしておこうと思う。(どんな状況にも対応出来るように今から準備しておく所が、私の天才たる所以だろう・・・フッフッフッ。)

■書評 「キキーッ・ウキーッ」 サル著 (評者:Sin)
 私と彼との出会いは、2018年のあの暑い夏の日だった。昼食を終え、畑仕事に戻ろうとした時、彼は私の畑の野菜を食べ荒らしていた。
 あとから思えば、その時点で私は彼の才能を感じていたのだろう。私はすぐ家に戻って、句箋とペンを持ち出し、「まだ、いてくれよ」そう願いながら、畑へと戻った。ナス畑からキャベツ畑へ移動していた彼を見つけて、私は句箋とペンを差し出した。サルは私の方へ注意深く近づき、その句箋とペンを奪い、すらすらと書き始めた。その時の句が、この句集の冒頭の句である。
 「ヴ〜キキキッギャッキャギャッキャ キキーッキャキャ」
 当時の川柳界は、意味性をなくそうとする流派と意味性を重視する流派が二つに分かれていた頃で、この句のような意味も流派も川柳もへったくれもない作品が私には衝撃的に映ったのである。特に下五の「キキーッキャキャ」という発想の凄さに驚いたのを今でも私はあのしたたる汗とともに覚えている。
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