短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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Sin

 
わらひ

 9月1日のコラムで触れた「津軽弁の日」の作品審査会が先日行われた。
 募集している作品は、詩、短歌、俳句、川柳、体験記の五部門だが、当然、僕は短詩型の作品を中心に審査することになる。審査と言っても、何人かのスタッフで作品を回し読みするために、何百という応募作品をある程度まで絞るための一次的な審査で、入賞作品は話し合いで決定する。
 基本的に「津軽弁の日」は、詩的作品よりも笑いが優先される。選ばれないことはないのだが、どちらかと言うと、詩的作品は笑いの合間のクッション的役割として存在させているような気がする。かと言って、最終審査の前にそのような作品を落してしまうわけでもなく、純粋に良い作品、悪い作品、笑える作品、笑えない作品と、ストライクゾーンを広くとって、最終審査へと渡すようにしている。
 まず短歌作品から目を通し、俳句作品、川柳作品という順番で審査を進めていった。「詩的」と「笑い」のどちらを優先するかという議論は置いといて、「笑い」に関して感じたことを。
 「笑える作品」の数は、短詩型の中でも短歌が一番多い。要するに「体験記」のような長い文章での「笑い」を、誇張・省略をすれば、31音字という長さにギリギリ収められるということだろう。5・7・5で「場面設定」や「前フリ」しておいて、7・7でオチをつける。シンプルな分、笑いも起きやすい。
 逆に川柳の5・7・5の長さでは、なかなかそういう作りが出来ない。場面状況のみとか、オチのみで勝負しなければいけない長さのため、集まった作品の中でも、無理矢理「前フリ」と「オチ」を書いて、中途半端に終ってしまったり、オチのみ書いて、面白さが伝わりにくかったり、そんな作品がたくさんあった。中には、説明したら笑いが起きた作品もあったが、2,000人の前で発表する作品としては不十分ということになるだろう。「読み手」という不確定要素が鍵を握るジャンルだとはわかってはいるのだが、これがなかなか難しい問題である。
 作品を読者に委ねてしまうのではなく、作品の世界にどれだけ読者を引き寄せられるか、などと思いつつも、答えは以外と簡単なのかも知れないなぁと打ち上げの会場まで歩きながら考えていた。

 ■津軽弁の日ウェブサイト http://tsugaruben.jp/
 ※トップページしかありません。現在、僕がサイト制作中です。
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