続・二の腕
前回触れた「二の腕」が、何となく気になって、あれからあれこれ調べている。
ひとつ分ったことがあった。私は「二の腕」を肘から手首にかけての下腕部のことだと思いこんでいたのだが、どうやらその思い込みは、あながち間違いとは言えないようなのである。
金田一京助編の「新明解国語辞典」には、次のような記述がある。「二の腕 � ∀咾里Δ繊�肩から肘までの部分。�◆∀咾里Δ繊�肘から手首までの部分。現在�△琉嫐�で用いられることはほとんどない。もと誤用から出発した�，�主用」。
なるほど、本来は上腕部が「一の腕」、下腕部は「二の腕」だった。それがいつの間にか、誤って「二の腕」と言われるようになり、現在に至った、ということなのだろう。
しかしながら、この記述では、かつて「一の腕」と呼ばれた上腕部が、なぜ「二の腕」と呼ばれるようになったのか、不明である。「一の腕」と「二の腕」の呼称がいつの間にかひっくり返ったのか。それとも、「一の腕」が消滅して、「二の腕」が上腕部に繰り上げられたのか。詳しいことは分らない。このリレーエッセイも、私の担当は今回が最終回。謎を残したまま終ることになる。
この半年間、長いようで短く、短いようで、蕁麻疹が出たり、水害にあったり、多事であった。暑く長い夏が終わり、秋が移り、冬もすでに半ばを過ぎた。
最初のエッセイに登場したオーガは、まだ生きている。ただし、冬眠中だ。彼は今、虫かごの土の中で動かずにいる。死んでいるのではなかろうかと思って、土をかき分け、背中をつっついてみると、彼は、さももの憂げそうに重い頭を持ち上げた。心地よい眠りをむさぼっていたのだろう。申し訳ないことをした。
このオーガが、地上に出て、再びモゾモゾ歩き出すころ、私の町に新しい春が来る。
|
