短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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松井 茂

 
おもいつきの詩学(一)

詩人の松井茂です。詩人だから詩を書いています。あるいは、詩を書いているから詩人です。さて、古代ギリシアの哲学者・アリストテレースは『詩学』のなかで、詩は韻律を用いる再現と書いています。同時に、舞踊はリズムを用いる再現と書いています。そして、韻律はリズムの一部だと書いているわけですから、両者はかなり近い。また、国文学者・西郷信綱も『詩の発生』のなかで、詩を「時代の経験や感情を静謐のなかに収斂した一の燃える小宇宙、すなわち精神的舞踏」と書いています。そこで思い出されるのは「踊る阿呆に観る阿呆」という言葉ですが、これに対して振付家・ダンサーの伊藤キムが、「アホでは踊れない」と答えているアンケートを読んだことがあります。「詩を書く阿呆に詩を読む阿呆」なんて誰も言ってませんけど、問われるまでもなく私は、「アホでは詩は書けない」と応じたい衝動にかられます。誰にも問われないことなので、今回は「おもいつき」として書き始めた次第。そんな感じに、これから詩に関係のある「おもいつき」を書いていく予定です。ちなみに私は、実作では「おもいつき」を忌避したスタイルをとっています(HP参照)。ところで(まだ字数があるので話題を変えて)、ここまでの原稿は、浜崎あゆみの『INSPIRE』を聴きつつINFOBARで書いていたことを告白します。なぜなら、あゆが作詞をする際にケータイを使っていると聞いたからです。書く際のハード環境が、テキストにどんな影響を与えるのかが気になったのです。この文章に行頭の一字下げや改行がないのは作業環境のせいです。ちなみに『INSPIRE』の歌詞には作業環境の痕跡があるのかよくわかりませんでした。また、私の掌にあるINFOBARをデザインした深澤直人は、その著書で環境とからめて「未来の痕跡」という興味深いことを言っています。そういうことにも改めて触れていきます。第一回「おもいつきの詩学」はやや混沌篇でした。
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