短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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伊勢谷小枝子

 
いちいち

 W杯日本戦(初戦)を聞きながら(隣室にテレビ)書いています。WBC(野球の、日本が世界一になった大会)の準決勝や決勝も、仕事中に別室のテレビの音を聞きながらでした。見ている人に、「単に『わー!』とかじゃなくて、『おお、○○選手がタイムリーを打って、2点が入るとは!』とかの歓声を上げてください」とお願いして。無理。離れて仕事をしている人とすれちがうたびに、「今、○回まで進んで、○対△です」と、いちいち報告をしていたのですが、にこにこ聞いてくれたその人は、あとで聞くと野球嫌いでした。ありがた迷惑。
 スポーツ映画のベストスリーは『ピンポン』『ウォーターボーイズ』と、『少林サッカー』を抑えて『ドラッグストア・ガール』かと思いきや『アタック・ナンバーハーフ』です。「スポーツ映画ランキング」というページを見たのですが、全体的になじみがないです。『キッズ・リターン』もスポーツ映画なのですか。
 前にこのコラムで映画のことを書いて、私の映画視聴史上最も心に残る台詞があると書いたのですが、説明しようとするともどかしいし伝わらないであろう徒労感がわいてきます。恋人の浮気に怒った女の子(アメリカまで会いに来たのに)が、恋人と相手の子がレストランかどこかで食事をしているところに、納豆とかキムチとか豆腐とか、そういうものをごちゃごちゃにして袋に入れて持って行き、恋人の頭に浴びせるのです。すごいにおいです(想像)。そこで相手の子と、たぶんアドリブのけんかになるのですが、なにを言っているのかわからない中で、相手の子が「いちいち買ったのかよ!」と言うのです。それは映画の序盤で、その後のストーリーには全く関係ないし、その後のストーリーは全くどうでもいいのですが、その時点で、この映画を見てよかったと思いました。心(と横隔膜)がふるえるつっこみでした。もう誰だかわかりませんが、すてきな前髪ぱっつんだったのです、相手の子。また見ようとは思いません。また見たいけど見ないままにしておく映画の第1位は『日本製少年』です。
 
 死ぬ人と死なない人に分けるので映画を見るに見かねる人だ(映画短歌)
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