短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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黒瀬珂瀾

 
天使が学ぶ

 2004年下半期に放送された『蒼穹のファフナー』という深夜アニメ。これ、放送が始まった頃は酷評だらけで、要するに「エヴァンゲリオンのパクリじゃねーか」と。キャラクターデザインが平井久司で、『ガンダムSEED』と雰囲気が似ていたのもマイナスに働いたのか、「見たことある」感炸裂の不幸な作品だった。結局、文芸統括だったSF作家の冲方丁(うぶかたとう)が中盤からシリーズ構成と脚本を兼任。、その後、ものすごい巻き返しを見せたため、マニア以外の記憶には残らないだろうが、ゼロ年代のロボットアニメを語る上で外せない作品とはなった。でも、開始時の脚本家である山野辺一記も決して、エヴァをパクろうと思って書いたわけじゃなく、先行作品の成果を踏まえて、さらにその上をいく作品を作ろうと頑張ったのだと思う。ただ、先行作品を意識しすぎたことが仇になった。でもこれはマンガアニメではある意味日常茶飯事であって、2002年にフジテレビで『ラーゼフォン』が放送されたときも「エヴァのパクり」という陰口はつきまとったし、『エヴァ』もいろいろな先行作品踏まえてるし。まあ、ディズニーの『アトランティス』は、『不思議の海のナディア』の壮大なるインスパイア作品だけど。
 『ときめきメモリアル』以降、男主人公に複数の女性キャラが群がる「ハーレムアニメ」が脈々と作られ続けている。クラスメイトの31人が全員萌えキャラという神をも恐れぬ所業に出た『魔法先生ネギま!』に至るまで、正直食傷気味ではある。とはいえ、最初に作られた作品には「開拓者」としての価値はあるだろうが、作品として最高であるかどうかはわからない。二匹目の泥鰌をねらう粗製濫造の嵐の中から、輝く作品は転がりだしてくるものだ。そして、同時代の眼では見えてこない物も多い。作品の評価とは最終的には後世が決めるものであるし、それに、ある時代で最高とされた作品が次の時代にそのまま受け継がれるのでは決してない。次の時代の価値観に合致する作品が、前の時代から選択される。つまりあらゆる作品は、時代から時代へ「選択的継承」されるのだ。
 それはそうとして伝奇アクションアニメのはずの『Fate/stay night』が、セイバーも凛も桜も藤ねえもみんなそろって食卓を囲むというハーレム状態現在進行形。「このラブコメ野郎!」というスタッフ側の自嘲ともとれる台詞も飛びだしたりして、まあ、腐れオタなオレ様としてはもうこのままライダーもキャスターもみんな揃って萌えハーレム化してしまえキャホーイとか思ったりもするが、まあ原作がエロゲーなので、こういう仕様でございます。それがTYPE-MOONクオリティ。
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