短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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黒瀬珂瀾

 
天使が願う

 とまあ長々と宮崎勤ネタで引っ張ってまいりましたが、皆さん以上にオレ様が飽きてしまったので、要するに、社会には「誤解」を操ることで他者を抑圧しようとする人間がいるということを申し上げたい。郵政改革のアピールが「老人や女性」など「IQの低い」人々を中心に進められたということが明らかになったけれど、これも、色々とおいしいように誤解させてとりあえず投票させればジオンはあと十年は戦えるわけで。
 さて、毎日新聞以外ではほとんど報道されなかったのでご存じない人も多いだろうが、昨年こんな事件がった。東京都国分寺市が、都の委託による人権学習の講座に東大大学院教授の上野千鶴子を講師に招こうとした。すると、都教育庁が「ジェンダー・フリーに対する都の見解に合わない」と委託を拒否したのである。で、結局講座そのものが取り止めになってしまった。そもそも上野千鶴子は「ジェンダー・フリー」という曖昧な用語を「使うことは避けている」と主張しているにも関わらず。
 これは行政による思想・学問の自由への介入というセカンドインパクト並の事件でありまして。オレ様的には上野千鶴子の思想に賛同する訳ではないとはいえ、行政により特定の発言が抑圧される事態を許容できるわけもなく逃げちゃだめだ逃げちゃだめだと署名してみたり。
 ジェンダー議論に対する都側の過敏な対応があらわになったわけだが、ここにはジェンダー議論を「誤解」させようという一部の人間の意図の影響も垣間見られる。理不尽な男尊女卑、性差別を解消しようという運動を、まるで、男女の性差を否定し、鯉のぼりや雛祭を否定し、男女を同室で着替えさせるようなジェンダーレス教育のことと決めつけてバッシングする勢力のことだ。男権中心的家制度への憧憬を基本に据えた保守的な国家運営を目論む一団が、男尊女卑解消の運動を押さえ込もうとしている。まあ、たしかに過激なジェンダーレス思想にとらわれた教員も存在するわけでどっちもどっちという意見もあるし、口を開けばやれツンデレだスク水だ絶対領域だツインテールだ最終日東館壁際だと繰りかえすオレ様が言うものなんだかなという気がしないでもないが、
 「体制翼賛の方が勝つわ」
 「ララァはかしこいな」
なんてことにならないよう、どうかひとつおねがいティーチャー。

「東京都に抗議する!」
http://www.cablenet.ne.jp/~mming/against_GFB.html
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