短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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斉藤斎藤

 
森澄雄の【評】

 読売歌壇と言えば田谷鋭だ。たまにグッと来る歌が採られてるから気が向いたら読んでみてほしいが、月曜日で祝日にすることのない私は読売俳壇も読んでみた。すると森澄雄の【評】にグッと来たのだ。たとえばこんな具合。

 万緑を抜けて万緑熊野川
       大牟田市 田頭 俊博
 【評】熊野川は大峰山脈の山上ヶ岳西麓を出て新宮市で熊野灘に注ぐ。万緑の中を流れている。
         (05.7.4)

 これは【評】か。熊野川についてはよくわかった。新宮市で熊野灘に注ぐのはなんとなく知っていたが、大峰山脈を出ていたとはよい事を聞いた。それが万緑の中を流れている。とてもよく理解できる。これは【評】か。
 俳句の評とはこういうものかと不安になって私は他の選句欄も読んでみた。「天道虫が季語として効いている」(成田千空)、「飛躍もおもしろい」(宇多喜代子)、「そのことでリズミカルになった」(正木ゆう子)。評らしい評がなされている。やはり森だけが澄雄なのだ。
 森【評】の基本は、(観光案内+そのまんま)、である。

  木曽川の飛沫涼しや舟下り
       渋川市 小山 憲司
 【評】木曽川は長野・岐阜・愛知・三重の四県を貫流する。川下りの飛沫を受けて涼しい。

 全山の蝉の斉唱霊山寺
       大分市 櫛来 正宜
 【評】霊山寺は徳島県鳴門市大麻町板東の高野山真言宗。山号は竺和山、行基の開山。本尊の釈迦如来は空海が刻んだものという。天平時代(七二九〜四九)聖武天皇の勅願により創建。全山に蝉がいっせいに鳴いている。
        (05.8.29)

 これは癖になる。短歌も澄雄で評したくなる。

 加護亜依と愛し合ってもかまわない私にはその価値があるから
       東京都 斉藤 斎藤
 【評】加護亜依は元モーニング娘。メンバー(第四期)。卒業の後、辻希美とユニット「W(ダブルユー)」を結成し、ハロープロジェクトの屋台骨を支える。加護と愛し合う価値が私にある。
(この項、つづく)

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