短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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荻原裕幸

 
大作戦

 今月中旬から公開される映画「ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]」の予告を見て、あ、これってもしかしたら、と調べてみると、やはり少年時代に見ていたアニメと同じアメリカンコミックを原作にしたものだった。原作が「ファンタスティック・フォー」というタイトルなのだと知って、ちょっと呆れた。映画にではなく、むかしのアニメの邦題にである。むかしのアニメは「宇宙忍者ゴームズ」という書くのがいささかためらわれる邦題で、番組中では「宇宙の忍者四人組」というさらに書くのがためらわれる呼称があった。原作タイトルそのままの「ファンタスティック・フォー」ではいったい何がまずかったのだろうか。
 この手の邦題に愚痴を言い出したらきりがないけれど、SFテレビドラマの傑作「スタートレック」第一シリーズの邦題が「宇宙大作戦」ないしは「宇宙パトロール」だったのは、ほとんど犯罪的なセンスの悪さのようにも思われる。視聴率を稼ぐために「スパイ大作戦」をまねたというテレビ局の弁明をどこかで読んだが、そもそも「スパイ大作戦」自体が問題じゃないのか、とつっこみたくもなる。ほんとにそのタイトルで視聴率が伸びる時代だったのかな。
 むかしは、SFであることが、この種の際物的ネーミングを呼んだのかも知れない。愚痴ついでに書くと、SFであることに加え、こども向けとなると、さらにものすごいものがあった。少年時代に図書館で読んだ某社の名作SFのシリーズでは、アシモフ『われはロボット』が『くるったロボット』、ステープルドン『オッド・ジョン』が『エスパー島物語』、きわめつけなのは、ハル・クレメント『20億の針』が『宇宙人デカ』。すべて優秀な翻訳者のものばかりなのだが……。
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