短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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斉藤斎藤

 
「人間が移動すると、神も移動する」

 冬の朝、吐く息が白くっても肺の中の空気が白いわけではないように、とうめいな思いを口に出した途端にどす黒くなってしまうような、そういうタイプの思いがある。そして世界は真冬の朝だ。
 ちょっと今かっちょいい事を言ってしまったのは、先日ひとん家で一冊の本に出会った。その本には人生一度は言ってみたいかっちょいいセリフにあふれていて、あまりに言ってみたくて実際声に出して読んだ。何故ひとん家に行ったかというと、知人のご夫婦にお子さんが産まれてそのお祝いに四人で行ったらその本があった。
 「だが、おれは、自分以上の本当のカリスマに会ったことがない」
 「何度も離婚したのは、もとをたどればその原因は結婚にある」
 「しかし、愛とは、映画『タイタニック』のディカプリオが、」
 「おれを独占できる女性はいないということだ」
 すてきな言葉を朗読するとみんなで笑って、その真ん中で〇歳三ヶ月の女の子はすやすや眠りつづけている。大丈夫。あなたは絶対すこやかでたくましく堅実な幸せになる。とぼくは思った。その四十分後、すごい揺れた。震度5弱だった。(この項、つづく)

 ※その本→http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872575660/250-5585668-4009813
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