短歌ヴァーサス 風媒社
カレンダー 執筆者 リンク 各号の紹介 歌集案内

★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
← 2006.6.26
2006.6.27
 
2006.6.28 →


斉藤倫

 
ハロー(みりーさんのブログ日記より)

 メールのやりとりからはじまって、とうとう今日ニーチェさんと会ってきましたよ!
 ヤバい!夢のようだ!
 土曜のお昼、待ち合わせ場所はなんと、青山のとある大きな病院の待合室。
 そこの7階のレストランがおいしいんだって。。。さすが。。。というか。。。やっぱり。。。独創的なおかた。。。
 脳神経外科と泌尿器科の表示のあたりに立っていたニーチェさんは、想像以上にかっこよくて、気さくな人でした!
 席は窓側で、屋上庭園の緑ごしに港区のビル外を眺めながら、ランチのスズキのポワレを二人とも。
 病院の上だけに、パジャマを着た患者さんや、お医者さんたちが、ナイフとフォークをかちゃかちゃ。フレンチなのに。。。なんとも不思議。。。
 お昼からワインをたしなむ人も多く、赤のポトルを不発弾みたいに支えたウェイターが、足音もなく歩いていました。
 話の流れで、ニーチェさんがこんなことをいいました。
 「みりーさん、あと十秒で、口がきけなくなるとしたら、最後の一言、なんていいますか?」
 「えー、そんなこと急にいわれてもー」
 私は焦りました。
 「流れ星が消える前に、願い事をいうと叶うっていうでしょう。あれはふだんからそのくらいとっさにいえるくらい思ってないと願いなんか叶わないということなんですよ。
 さあ、どうします、人生最後の一言です」
 といってニーチェさんは、1、2、と数えはじめました。 
 「私は。。。」
 といったきり何も出てきません。
 「4、5。。。」
 「私は、私は。。。」
 「はい、10」
 といわれて瞬間に、私はのどがぐぅぅぅぅっとなって、気持ち悪くなりました。そしてそのまま、ことばが出なくなってしまいました。
 ニーチェさんははじめは私の悪ふざけだと思っていたようですが、本当だとわかると、少し青ざめていました。
 最後はしきりに謝っていて、へんなふうに暗示にかかってしまったんだね、そのうち声が出るようになるよといっていました。私は大丈夫です、というふうに手をふって別れました。
 そうして帰ってきていまパソに向かっていて、まだ声は出ないままなのですが、私はいっそこのままでもいいような気がしてます。
 あとで後悔するかもしれないけど、どうしてかいまは幸せな気分。 
 だってこんな経験ってなかなかできないじゃないですか!
 みなさま、ご心配なく! みりーは大丈夫です!
 それでは!
← 2006.6.26
2006.6.27
 
2006.6.28 →