佐藤りえ歌集『フラジャイル』批評会資料 (2004年4月24日) 林浩平
□「好きなうた」10首
駅裏のへんな形にからまった自転車を見て泣いたはつなつ
通り雨去りし舗道を見下ろせば重たき心轢かれゆくのみ
銀河からはぐれてみたき夜の秋小さく折って飲むオブラート
地下鉄の窓に貼り付くひとひらの桜のように春とはぐれたり
神様が降りると聞いた雨雲の切れ間の空に抱かれる渋谷
雲に手を伸ばしてみたりわけもなく誰かを愛した季節が終わる
青空のどこか壊れているらしく今日三度目の虹をくぐれり
この世にはあらざるものの名を借りてなぐさめている夏の夕暮れ
遠ければ遠い遠くて散り急ぐ金木犀の小花を浴びる
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この夜がこの世の中にあることをわたしに知らせるケトルが鳴るよ
キラキラに撃たれてやばい 終電で美しが丘に帰れなくなる
一人でも生きられるけどトーストにおそろしいほど塗るマーガリン
たましいを半分ぐらい切り取ってきみにあげたい 果実のように
つながりのない関係は、無関係。鳩飛び立ちてひろがる舗道 |
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