『フラジャイル』を読む 二〇〇四年四月二十四日 加藤治郎
◆〈歌集〉という現象
・第一歌集として読もうとするのは歌人だけか。十二年間という作品集。
・パッケージから歌集オフィシャルサイトまで。コンセプトとしての〈フラジャイル〉
・歌集ブースター説
◆定型という名の天秤
1) |
| この夜がこの世の中にあることをわたしに知らせるケトルが鳴るよ | p10 |
| 嫌いって言えないジンに浮いたまま拾い上げないライムの輪っか | p11 |
| 駅裏のへんな形にからまった自転車を見て泣いたはつなつ | p16 |
| 一人でも生きられるけどトーストにおそろしいほど塗るマーガリン | p17 |
| 螢いる叢に立つこばまれず闇の一部になりたい夜は | p20 |
| ポップコーンの最後の一個は種でしたユメミガオカノサカナイハナノ | p26 |
| 2) |
| 鍵盤に指をおろした瞬間に逢う音のような君に会いたい | p44 |
| さかさまに置いたカップの内側のような部分が君にもあるね | p47 |
| 内部よりわれを攻略する為の基礎体温のまばらな星座 | p55 |
| 死者の血は掃き寄せられて失せるのみセンターラインの白極まれり | p62 |
| 3) |
| ガキのころのあだな・実験で見たでんぷん・夢のことなど話してくれた | p81 |
| ぼくたちが歩くはやさで暮れる日よあんぱん3個買って帰ろう | p83 |
| 拒んだらきっとかなしい まなざしは銃弾なみの勢いでくる | p84 |
| 最低の恋人だったぼくたちはゴーダチーズを指でえぐった | p85 |
| しょうがないという時君はある強さ(君そのもの)をのぞかせていた | p86 |
| シナモンのドルチェをすくう銀の匙 おんなのこってためらいがない | p87 |
| 砂粒がわずかに混じるハンバーガーくわえて犬は微笑みかえす | p95 |
| 届かない手紙を書いているような日々です桃のゼリーをつつき | p97 |
| 4) |
| 「噴水の蛇口をひねる人」というアルバイトなし夏雲高し | p110 |
| 自転車の籠いっぱいの夏野菜はずんでいるね坂を越え越え | p111 |