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これからの川づくりを考えるために
木曽川は語る』著者 木曽川文化研究会[久保田稔]

 木曽川源流の村・木祖村は田植えの季節であった。お爺さんが家族総出の田植えを手伝って、あぜ道に苗を取りにきた。さっそくお爺さんに山肌に沿って流れる用水路について話しかけると、「今はトンネルもきれいに改良されているが、わしの子どものころは、手彫りのトンネルに入りよく遊んだものだ」と、懐かしげにはるか上の山肌を流れる用水路を見上げた。
 また、下流域の市・町長さんたちと「今後の川」について話し合ったとき、ある町長さんが、「孫が多少ケガをしてもよいから、子どものころに遊んだ昔のような川にならないか」と、発言された。
 上流と下流の違いはあっても、子どものころの水遊びの記憶は懐かしい思い出となって残っている。川は、人々に懐かしい思い出を残し、さらに生活の糧の源として灌漑用水の供給や発電さらに文化の交通路としての役割を果たしてきた。一方、川は洪水災害などで生活の基盤を破壊し、さらに尊い人命を奪ってもきたのである。
 近年、河川環境の改善をめざし、川辺の植物や魚さらに水鳥などと共生する「多自然型川づくり」が各地でおこなわれている。このような時代にこそ、各地域の人々が川からどのような恩恵と怨念を受けてきたのかをまず知ることが、昔の懐かしい川・子孫に残すべき川のありようを考える出発点だろう。
 この本は、「木曽川」を一事例として取り上げているが、読者の身近に流れている「名も知らない川」にも同様な物語が多数埋もれていると確信する。喧騒な毎日の生活の中で、川の流れに心を癒される至福の時を持ち、子孫に残すべき「川」を考える端緒にこの本がなれば幸いである。
 
この冬は「ものづくりの旅」へ
[東海版]ものづくり・手づくり体験ガイド』著者 SKIP[塩田由美子]

 「全部行ったんですか?」と聞かれます。もちろん、すべて体験してきました。家族5人で高山へ体験をはしごするだけの旅行に出かけたり、初めての高速に手を震わせ、三重の山間部まで日帰りドライブしたり、 一人きりで蒲郡でお香をつくったこともありました。ああ、東海三県は広かった!けれど、帰りは楽しかったんです。それは、現地で指導してくださった方がみなさん楽しんでいるから。つくりながらその楽しさを分けてもらっていたのかもしれません。
 いま、体験施設が増えています。自分の手で味わう自然の素材、その色あい、添加物のない食品、出来はよくなくても、見ているとなんだか愛着が湧いてきます。「素敵にできましたね」と言われると、この歳になっても、なんだかうれしくなりました。
 私たちSKIPの「わたし・出会い・輝き」というテーマは、このガイドブックにも込められています。
 この冬はガイドブックを持って、ものづくりの旅に出かけてみませんか?
 
「当たり前」と思う自由を見つめ直して
いま一度白きノートに』著者 中村儀朋

 「いま一度白きノートに思ひきりわが歌わが手に書き記したし」
 この書の題名は山崎礼子さんのこの歌から頂きました。
 自分の歌を自分の手で書き記す? そんなささやかな願いすら叶わないほどの重度障害を背負って礼子さんは生きてきました。当たり前と思っていることを当たり前と意識せずにいる私たち。それがどれほど恵まれたことであり、それを奪われることがどれほどの深い悲しみで残酷な宿命であるかを礼子さんの人生は私に突きつけます。
 当たり前のことを当たりと思うことなく生きてきた私が、最重度の身体障害を背負った礼子さんよりも幸せで、より人間的である、などとはどうして言えましょうか。一生を寝たきりのままで生きる礼子さん。その礼子さんが憧れ、幸せと思うのは、文字を書くこと、歩くこと、走ること、手の自由、脚の自由、体の自由です。物やお金などではないのです。その「当たり前」と思う自由を私は人間として十分活かし切って生きているのか? 他の人の幸せのために役立たせているのか? そう自問自答しながらこの書を書いてきました。
 私は、礼子さんや「ひかりのさと・のぞみの家」の住人さんたちから、よりよい生き方を学ばせてもらった思いがしています。その具体的な実践にヒントを与えてくれたのが、やさしさと明るさと勇気の大切さに気がついたという風見隆吉さんです。
 礼子さんが私に心を開いて下さったやさしさへの恩返し、そしてよりよい生き方を訪ねる私なりの道しるべがこの書となりました。
 
患者さんを生かすケアとは?
こんなに身近なホスピス』著者 細井順

 父親のホスピスでの安らかな死を目の当たりにして、医療のあるべき姿に接したような気がした。それまでは外科医として病気を治すことを目的に医療に携わっていたが、患者さんの傍らに寄り添うことによって、患者さんの世界を共に歩く身となって、はじめて患者さんを生かすことができるようになったと感じた。ターミナルケアをしているのだが、患者さんを生かしている。この逆説を伝えたいと思い、本書を執筆した。多くのがん患者さんは病院で、それも病気の治療を目的とした病院でなくなっていく。そこでは、患者さんとして亡くなっていく。ホスピスでは、苦しみを除き、人間としての尊厳をもって亡くなっていく。さらに、自宅で亡くなっていく時には、それぞれの人の人生の延長線上に、一番苦しみがなく穏やかに亡くなっていく。最後はこうありたい。多くの患者さんや、家族に読んでほしい。がん治療に行きづまりを感じている患者さんに読ませたい。なにかのヒントになれば幸いである。
 
『脱・田中康夫宣言』を出版して
脱・田中康夫宣言』著者 樺嶋秀吉

 テレビや新聞をとおして伝わってくる長野県知事、田中康夫氏のイメージはまぎれもなく「改革者」です。公共事業中心の利益誘導型政治にどっぷり漬かった古参県議と闘いながら、県民のための「長野モデル」をつくり、全国に発信しているヒーローといった感じです。
 ところが、地方政治を長年テーマにしてきた私が、県議会や記者会見などにおける言動を駆使して浮かび上がらせ田中知事はまったく別の顔をしていました。一言でいうと「危うい」のです。知事としての自覚、政治責任に対する考え方、そして行政手腕、すべてにおいてです。その具体的な例がこの本のなかに、たくさん詰まっています。
 田中知事には厳しい内容ですが、自治体リーダーとはどうあるべきかを考える上で大変刺激的な本であると自負しています。統一地方選たけなわのこの時期、ぜひ読んでもらいたいと思います。
 
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