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小社の在庫書籍のなかから、時代を超えて読者に読み継がれてきた書籍や
在庫僅少本などをピックアップして紹介します。
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ルポ 大合理化社会の労働者たち
『わが幻影工業地帯』
著者: 鎌田慧
発行年月日: 1976年5月25日発行
●目次
T わたしの工場
1 まぼろしのカメラ工場
わたしはなにを見ていたのか/起点=K精機研究所/見習工日給二三〇円也/渡り職人の運命/二〇年の軌跡がそこに……
2 謄写版屋へ
転職少年、町へ/「手に職を持つ」信仰/ガリ版全盛時代/早逝した「人生の師」たち/組合結成に成功した!/〈海〉と〈階級〉
3 職場占拠闘争
全員解雇通告/零細印刷・製本の実態/踏まれた麦は強く育った/共同製本・主婦と生活社争議/オルグへの憧れ/「民主経営」の矛盾と壁
4 大合理化時代
ホンショクにもどれるか/駆逐された労働者たち/無意味な労働・不幸な時代/〈ため息〉と〈銃声〉
U 青春と工場
1 下町の上京少年たち
鉄工所から美容学校へ/「新全総」に追われて/「金の卵」たちの夢と絶望/幻影工場地帯
2 川崎・鬱屈の女工たち
「女工」か「女子社員」か/「恋の東芝」けだるい職場/オートメ工場と鶏舎/ゴーゴーとミンセイはご法度/恋人だけを待ち望む労働者
3 追われた都電労働者
逃げられない時/革新都政の合理化計画/集団就職車掌たちの混迷/ハンドルにかえてなにをにぎるのか/車庫に眠る怒りとエネルギー
4 失踪した下丸子の青年労働者
全金=北辰電機への組織攻撃/組合つぶしへ死の抗議/企業内ファシズムの進行/邪魔者は追い払え/労働者たちは戻ってくる
V 合理化時代の労働者
1 希望退職者の絶望
尾西に見るトカゲのしっぽ切り/企業内高校=織姫たちの桎梏/伊勢電子の「人柱」たち/東洋紡=大量解雇・復職劇の筋書/大合理化の地ならし「雇用保険法」/希望退職の思想がはらむもの
2 労働下宿に棲む下層労働者
不況で露呈した労働構造/現代のタコ部屋=労働下宿/鎔鉱炉の火を消した人夫たち/底辺労働者と暴力支配/「寄せ場」は再生産される
3 工場からの脱出者たち
水商売志向の大群/起重機とシェーカーー/奪われた熟練と連帯/閉塞を解き放つ道
4 揺らぐ春闘構造=敗北の底流
「運命共同体論」への屈服/顔をたてあう労使/風化・解体する組合運動/クラウン・精工舎・旭硝子の闘い/国家防衛=ついにここまできた
5 臨時労働者たちの反撃
本工が臨時工化する時代/重層化する差別構造/旭硝子・ソニーの臨時工制度/本工有志と臨時工の闘う連帯/資本にいっぱつかましたい!
●著者紹介
鎌田慧(かまた・さとし)
1938年、青森県弘前市に生まれる。1964年、早稲田大学露文科卒業後、新聞、雑誌記者をへて、現在フリーのルポライター。著書に『自動車絶望工場』(講談社文庫)、『六ヶ所村の記録』(講談社文庫)、『大杉榮 自由への疾走』(岩波現代文庫)など多数。
●本書のあとがきから
中卒十五歳、高卒十八歳。こんな歳で、世の中に出た人たちの、そのどれだけが、自分の意志によっていまの職業を選べたであろうか。おそらくそのとき、ほとんどの人たちにとっては、どこかに就職することが問題なのであって、職業、とりわけ職種を「自由」に選択できた人は、数えるほどしかいなかったにちがいない。ところが、ある種の偶然によって、たとえば、親戚、学校などのツテや紹介によって、ひとたび手にした「就職」は、こんどは逆転して、彼の一生を支配してしまうことになる。とりわけ、大企業に入った場合、そこで与えられる仕事は、あくまでも、そのときの企業の都合によるもので、そんな一方的な決定の枠内に、彼の人格と才能とがはめこまれてしまうことになる。考えてみれば恐ろしいことである。しかし、だからといって、大企業が嫌われるわけではない。生活するなら、やはり大きな企業で働くことが、いちばんいいことだと思われるのである。そういうわたし自身、高卒で上京するとき、大企業にも、中企業にも入れず、ようやく町工場に入れた男である。どんな仕事になるのか、それさえ判らなかった。なにしろ、高校での成績は、四二〇人の卒業生のなかで、Eブロックにランクされ、そのEブロックには、二四人しかいなかった、というほどサンタンたるものだったのだ。これでは学校でも、どこへも推せんのしようがないというものである。
大企業に入れなかった上京少年たちの、あるものは“辛抱”によって熟練を身につけ、あるものは転職少年として都会の底を這いずりまわりながら、なんとか生活の基盤を作るようになる。が、合理化が進み、産業再編の動きが急激になってくると、そのどちらもが、また移動せざるをえない局面に遭遇する。この本は、上京少年たちが、どのような幻想を抱き、どのようにして都会で生き続けてきたか、いわば、追われゆく労働者たちの実態報告である。 |
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